2012年3月10日土曜日

周知技術を裏付ける新たな文献は審決取消訴訟でも提出可能

知財高裁平成24年2月29日判決
平成23年(行ケ)第10183号 審決取消請求事件

1.概要
 本件発明と主引用発明である引用発明1との相違点1:本件発明では、高透明プラスティック支持体の両面に光拡散層を備えているのに対して、引用発明1では片面である点。

 審決では、上記相違点1の特徴は「周知」であるから、引用発明1+周知技術の組み合わせにより本件発明は進歩性なし、と判断した。審決では周知技術であることの「一例」として甲3文献を引用した。原告(出願人)審決取消訴訟を提起した。
 審決取消訴訟において被告(特許庁)は、相違点1の特徴が周知技術であることを示す文献として新たに乙1~乙5文献を追加した。
 裁判所は、訴訟段階において周知技術を裏付ける新たな文献を追加提出することは適法であると判断した。

2.裁判所の判断のポイント
「引用発明1に周知技術を適用し,相違点を解消して本願発明1に想到した場合に奏される作用効果が,当業者の予測を超えた格別のものであるということはできない。なお,訴訟において,周知技術を裏付ける新たな文献として乙第1ないし第5号証の公報を提出し,裁判所がこれに基づいて周知技術を認定することは,審決取消訴訟の審理の範囲内である。