2011年8月7日日曜日

最近読んだ雑誌記事13

梅田幸秀,「特許拒絶査定不服審判運用上の問題点 -審判請求時の補正の補正却下について-」、パテント,Vol.64,No.10(別冊No.6)、第50-68頁、2011

拒絶査定不服審判請求時に行う補正と補正却下の関係について論じられている。

拒絶査定を受けた段階において、独立請求項と、当該独立請求項の構成要件の一部を限定する従属請求項が存在する場合に、独立請求項を削除し、従属請求項を独立請求項とする補正は、「請求項の削除」であると同時に、「特許請求の範囲の限定的限縮」であり、どちらとも解釈できる。ところが、「請求項の削除」であれば独立特許要件が不問であり、仮に新しい拒絶理由が存在したとしても補正却下はされず拒絶理由が通知される(応答時に補正が可能)のに対して、「特許請求の範囲の限定的限縮」であれば仮に新しい特許性否定事由が発見された場合には補正却下の対象であり、補正却下理由を解消するための補正の機会は保障されていないのであるから、「請求項の削除」か、「特許請求の範囲の限定的限縮」かは審判請求人にとっては重要な問題である。
本論文ではこの問題について裁判例からは必ずしも明らでないことや、審判請求時の補正が補正却下された場合に生じる問題点等について論じられている。